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江波戸 龍 -対話の過程で失われるもの-
11月3日(土)〜25日(日)まで開催
現代の美術を紹介する吉祥寺の企画画廊、Gallery惺SATORU(武蔵野市御殿山1)で『江波戸 龍 -対話の過程で失われるもの-』が現在、開催されている。
江波戸 龍(えばと りゅう)さんは、2010年に多摩美術大学大学院絵画専攻領域を卒業。自身3年ぶりの個展となり、Gallery惺SATORUでは初となる。
作品はキャンバスに麻布を敷き、その上から様々な色を重ねているのが特徴で濃淡を作り立体的に描いている。モチーフは主に人物や動物の“横顔”で、あたかも相手がいるのが見えるような感覚を覚える。ギャラリー内では、隣り合った作品同士が対話をしているようにも見えるが、特に対で描いているわけではなく、どんな組み合わせでも違和感なく作品鑑賞することが出来る。
江波戸さんは、これまで人間が本来持つ『不安』や『恐怖心』といった、あまり人には見せたくはない心の揺れを描いてきた。今回の展覧会について、Gallery惺SATORUのディレクター島田さんは「人と人が対話(言葉)によって理解しようとしても、実際には完全に理解することは出来ません。言葉だけでは不完全であることや『伝わらないが大切であるもの』を見ようとすることを視覚化しようとしています」と話す。
「江波戸さんが社会に出て体験した人間関係、コミュニケーションの複雑さ、もどかしさを感じながら制作したこれらの作品を通し、対話が持つ様々な問題について考える機会になれば」とも。
作品は34点を展示中。入場は無料。展覧会は今月25(日)まで開催される。
『江波戸 龍 -対話の過程で失われるもの-』詳細案内
- 日時:11月3日(土)~11月25日(日)
- 営業時間:11:00~19:00(最終日17:00 迄)
- 休廊日:毎週月曜日・火曜日
- 場所:Gallery惺SATORU
- 住所:武蔵野市御殿山1-2-6 VIEWCANYON吉祥寺御殿山 B1F
対話の過程で失われるもの
わからなさ というのが制作の糧である。
学生の頃は自分へのわからなさが一番に比重があったのだけど、
社会に出た事で多くの人と関わるようになったここ3年は、
わからなさの対象として対話に比重が移って行った。
心の中にあっても言葉にしようとすると遠ざかってしまうもの
意思の疎通は出来るのに完璧ではない事を発見した事は
心と言葉 言葉と言葉の間にある失われたものを意識させられた。
それは目に見えないし言葉にできないものだけど、
大切なものであるという感覚があり、
なんとか拾って形にしたいという思いがある。
表現されたもの 語られたものが全てでは無くて、
その奥の想いの様なものを汲み取る事が、
今の僕には必要なのである。
-江波戸 龍
江波戸 龍 略歴
1984 東京に生まれる
2008 多摩美術大学卒業
2010 多摩美術大学大学院 修了
個展
2009 "Emotion" アートアイガ
2012 11月3日-25日 Gallery惺SATORU
グループ展
2008 "FIXED POINT 08" Gallery惺SATORU
2010 "FLOWERS~Like a wildflower" Gallery惺SATORU
2012 "迎春展" Gallery惺SATORU