美術家 益永 梢子(ますなが しょうこ)
益永 梢子展『Symphony』@ギャラリーFace to Face
井の頭公園の近くにあるギャラリーFace to Face(武蔵野市吉祥寺南町1)で現在、益永梢子さんの個展『Symphony』が開催されている。
益永さんは、ドローイングやインスタレーション、オブジェなどを制作する美術家。 昨年秋に同ギャラリーで開催された2人展に参加。古い書物を解体して新たなストーリーを加えた紙のオブジェを展示し、好評を得た。
今回の個展では、キャンバスをさまざまな形に切り、そこから2度3度と折ってペイントした作品を22点展示。"折る"という行為によって、普段は見えない作品の側面や裏側などが露出されるのだが、そこに何本もの線を描き、色を加えることで、省かれてしまう箇所を含めて作品を体感してもらえるように仕上げている。
「よく絵画は"平面"として見られますが、中に線や図が描かれていれば、そのキャンバスの中は3次元だと思うんです。私は絵画が2次元と3次元の間を行き来しするような浮遊感漂う作品を作りたかったんです」と話す益永さん。展示方法も、壁にただ単に貼るのではなく、浮かせてみたり、コーナーを利用して立体的にみせたり。ギャラリーの特徴を最大限に生かし、全体で統一感のある空間として仕上げた。
益永さんは作品を展示する時は必ず、その場所に合わせた物を制作しているという。そのため、ある時はタイル、またある時には新聞紙や古書を利用するなど、表現方法に全く制約を設けていない。ポートフォリオなどで作品の羅列だけを見ると、同じ作家のものだと気づかないかもしれない。しかし、彼女の作品に向かう際のブレない姿勢や物を捉える視点を理解すれば、それぞれ全く違う顔をした作品でも、決して見紛うようなことはないだろう。
今回展示された22点は、形状こそ1つとして同じものはないが、それぞれ色や形、線のパーツが、見える部分はもちろん、見えない部分まで浸透され作品の集合体として完成されている。しかし、1点1点の作品を取り出してみても、歴とした1つの作品として個々に完結されているのが分かる。作品の楽しみ方はもちろん人それぞれで数多くあると思うが、この空間のために考えられた作品達が響きあって鑑賞者と“Symphony”する様子を、楽しんでみて欲しい。
プロフィール
益永 梢子(Shoko Masunaga)
1980 大阪生まれ
2000 成安造形短期大学 造形芸術科 洋画クラス卒業
2002 新象展 入選
2003 新象展 大阪市教育委員会賞受賞
2004 新象展 大阪府教育委員会賞受賞
2005 グループ展「BECKO」/SUMISOギャラリー(大阪)
2005 個展「show-co展」/海岸通りギャラリーCASO(大阪)
2006 上京
2008 個展「益永梢子展」/NO.12Gallery(東京)
2009 個展「marunouchinokichi」/丸の内カフェ(東京)
2009 展示「Tile Exhibition」/Cafe ALASKA(東京)
2010 個展「たちいふるまい」/NO.12Gallery(東京)
2010 展示「廊下の例文」「そうじの時間」/世田谷ものづくり学校(東京)
2011 グループ展「50人のチャリティー展」/ブックギャラリーポポタム(東京)
2011 グループ展「SICF」/青山spiral(東京)
2011 展示 「活字」+「活け花」=「活け文字」「Circulation」/Zen Foto Gallery(東京)
2011 二人展「渡井眞季+益永梢子展」/Gallery FACE TO FACE(東京)
2011 個展「無花果の花」/Gallery yolcha(大阪)
2012 グループ展「それぞれの富士山展」/Gallery FACE TO FACE(東京)
2012 アーツ・チャレンジ2012入選 「活字」+「活け花」=「活け文字」出展(名古屋)
益永梢子 個展『Symphony』詳細案内
- 日時: 2012年7月7日(土)~22日(日)
- 営業時間:12:00~19:00
- 休廊日:7/9(月)、17(火)
- 場所:Gallery Face to Face
- 住所:〒180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-18-8-101
ギャラリートーク
- 7/ 15(日)、16(月)14:00〜15:00
- 作家による作品解説とフリートークの会を催します。(予約不要)
作家在廊予定日
- 7/ 7(土)8(日)13(金)15(日)16(月)19(木)22(日)
同時開催中 展覧会
- 日時: 2012年6月22日(金)~8月25日(土)
- 営業時間:13:00~18:00
- オープン:金・土のみ開廊
- 場所:ガレリア青猫
- 住所:〒167-0053 東京都杉並区西荻南2-21-8
- 【6人の作家による競作展】
- 上田和彦( 油彩・木パネル・ キャンバス)
- 風早小雪(銅版画・版画用紙・雁皮紙)
- 木藤恭二郎(ジェッソ・黒鉛・油彩・木パネル)
- 高島進(筆・インク・色鉛筆・キャンバス・和紙)
- 舘寿弥( アクリル絵具・木パネル ・和紙)
- 益永梢子(アクリル絵具・油彩・木炭・パステル・キャンバス・タイル)