木と漆作家 蝶野秀紀(ちょうの ひでのり)
「蝶野秀紀『木と漆の器 展』」@器と道具 つみ草
広島県在住の“木と漆のうつわ”作家、蝶野秀紀氏の個展「紀と漆の器展」が「器と道具 つみ草(武蔵野市吉祥寺南町2)」で今月25日まで開催されている。
定番の椀や盆のほか、蓋物や白漆、さらにはカレー皿やディナープレートなどの漆作品ではめずらしい日常の器が展示されている。
若い頃から器に興味があったという蝶野さんは学生時代から、全国の器を巡って旅をするほどの器好きだったという。一度は企業に就職したものの、器作りへの情熱が忘れられず3年で退職。2005年、石川県挽物轆轤技術研修所へ入学。卒業後に「工房息吹ibuki」を設立し、作家活動を続けている。
一般的な漆作品は、器を作る行程、漆を塗る行程と、別々の職人によって分業されることが多い。それに対し、蝶野さんの作品は、自ら木を選び、削り、塗るというように、全ての行程を自分で行っている。それによって狙い通りに木目を活かした作品を作ることが可能になる。さらに器の削りだしを自ら行うことで、器の形には一般的な漆器に見られないような豊かなバリエーションがある。また行程の途中に他業者を挟まないので、価格も非常にリーズナブルだ。
恐ろしく手が混んでいても、全くそれを感じさせない、素朴な美しさ。「木を感じるものが好き」と話す蝶野さんの作品は、どれも日常の生活にすっと馴染み、温もりを与えてくれるものばかりだ。軽くて温かい"木と漆の器"を、この機会に食卓へ取り入れてみてはいかがだろう。
「蝶野秀紀『木と漆の器 展』」詳細案内
- 日時:2011年9月14日(水)〜9月25日(日)
- 場所:器と道具 つみ草
- 住所:〒180-0001 東京都武蔵野市吉祥寺南町2-20-3
プロフィール
- 蝶野 秀紀(Hidenori Chono)
- 1971年 京都に生まれる
1991年 京都の高校卒業後、広島大学理学部に進学
この頃からうつわに興味を持ち、主に陶器を買い始める
1994年 大学四年生 広島市内のギャラリーで角偉三郎の漆器と出会う
1997年 広島大学が医学院理学研究科修了
精密モーターメーカーに就職し機械設計を担当する
2000年 漆器づくりを学ぶため、勤めていたメーカーを退職
2001年 石川県挽物轆轤技術研修所入学
2005年 同研修所卒業・石川県山中にて独立・工房息吹木ibuki 設立
2009年 広島県に工房を移転