井澤 由花子(いざわ ゆかこ)
展覧会レポート 井澤 由花子展 "Born in the water" @アートギャラリー絵の具箱
- 井澤 由花子 Yukako Izawa
- 2011年2月2日(火)~2月16日(水)
- 井澤 由花子展 "Born in the water"
「水」というモチ−フに魅かれ、描き続けてきた井澤由花子さん。妊娠をきっかけに気がついた「水」の持つイメージと 彼女の描く水彩画の世界に迫る—
壁一面を覆う大きなキャンバスの上に、多彩な光と水のうねりを重ねたような水彩画。重なるほどに透明になっていく光と、揺れ動く水。まるで水中から明るい水面を見上げるような錯覚に襲われる。そしてなぜか懐かしさを感じる情景が浮かぶのだが、それがどこなのか思い出そうとしても記憶は水のように掴めずただ漂うだけだ。
2011年2月2日〜16日、武蔵野市吉祥寺にあるアートギャラリー絵の具箱で開催された井澤由花子さんの個展『Born in the water』の展示室に入ると、一瞬でその独特の世界に引き込まれた。どの作品も共通して、水の揺らぎを感じる透明感のある水彩画だ。作家の井澤さんは、吉祥寺の隣駅である西荻窪在住で、デザイナー・イラストレーターとしても活躍している。
「水というモチーフにずっと魅かれていて、私のテーマとなっていました。『水と人の関わり』に興味があったのですが、なぜかは分からないま描き続けてきました。それが妊娠をきっかけに気付いたんです」
個展開催時、臨月のお腹を抱えていた井澤さんはこう続ける。「妊娠してからは自分の身体の内側には水の世界があり、そこにヒトが住んでいるという感覚を感じるようになったんです。また、『中のヒトは母親の大動脈を流れる血液のサラサラというとてもきれいな音を聞いている』という話を以前聞いたことがありました。そのイメージが私の水に対する音や温度、色のイメージにつながっているんです。もともと人は水の中で暮らしていたんですよね」。それならば井澤さんの作品から感じる既視感は、遠い記憶の名残りだろうか。
「今回の作品のシリーズは子供からインスピレーションをもらいました。子供が生まれたら、また新しいアイデアをくれたらいいなと思っています」と話していた井澤さん、3月に無事男の子を出産したそうだ。子供がこれからの作品に新しい着想を与えてくれることと、健康に育つことを心より願う。
井澤 由花子 Yukako Izawa
Profile
- 2005年
- 多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業
- デザイナーとして主にテレビ番組のタイトルロゴデザイン、CG、グラフィックデザインなどの仕事をする
- 2009年
- アーティスト、デザイナー、イラストレーターとして独立
展覧会
- 2001年
- 個展『YとKのバスルーム』(上海クラブ)
- 2004年
- グループ展『今日のおかず展』(表参道画廊)
- 2010年
- GEISAI#13 出展
- GEISAI#14 出展
- SICF(スパイラルホール) 出展
- 3331アンデパンダン(3331アーツ千代田) 出展
- 上海アートフェア(上海) 出展
- グループ展「Solid memory,liguid scapes」(アルマスギャラリー)
- Young Artists Japan(東京交通会館)出展
- 2011年
- 井澤由花子展「Born in the water」(ギャラリー絵の具箱)
公式ウェブサイト
- 井澤由花子 公式ホームページ
- http://izawayukako.web.fc2.com/